全がん協加盟施設の生存率協同調査
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全がん協加盟施設の生存率協同調査について


全国がん(成人病)センター協議会(以下、全がん協)加盟施設では以前より院内がん登録を整備し、診療実態の把握に努力して参りました。一方、2003年に「地域がん診療拠点病院院内がん登録標準項目とその定義2003年版」が公表され、2006年にはその改訂版「がん診療連携拠点病院院内がん登録標準登録様式-登録項目とその定義2006年度版修正版-」(以下、標準院内がん登録)が策定されました。現在この定義が標準とされています。全がん協加盟施設においては長年の研究班活動により“がん情報”の収集と生存率の算定を定期的に行えるようになったことや、わが国における“がん告知”の普及、インフォームドコンセントの必要性が認識されてきたことなどから、患者さんやそのご家族、医療関係者、あるいは医療に関心を示す国民の間から、施設名をオープンにした生存率の公表が求められるような状況となってきました。

一般に、各施設が公表するがん患者の生存率は、その施設におけるがん患者に対する治療効果の指標とみなされる傾向があります。ところが、がん患者の生存率に影響する要因は、治療効果の他に、患者側の要因も強く関わります。さらに、算出される生存率値は、その基となるデータソースの由来や、対象となった患者の生存確認調査(予後調査)方法などにより偏りが生じることが知られています。このため、全がん協加盟施設はこれまで以上に生存率算定用のデータセットの信頼性を高めると同時に、個別データの協同集計、その算定結果である初回治療後の生存率値の信頼性を高め、データの正しい解釈をしてもらうためのより厳密な取り組みが必要となりました。

そこで猿木班では、上記に述べた全がん協の歴史と一連の研究班の研究成果とを斟酌し、これらの取り組みを円滑に実施することを意図して、「全がん協加盟施設におけるがん患者生存率の公表に関する指針」(http://www.gunma-cc.jp/sarukihan/sisin.html)を作成し公表いたしました。これまで全がん協加盟施設の生存率を算定してきた研究班として「標準院内がん登録」と整合性をとり、また「公表指針」に基づき、主要部位の5年生存率、施設別5年生存率(胃・肺・乳・大腸)を算定し、一定の精度をクリアした施設、同意の得られた施設のみ、その結果を公表することにいたしました。

以下に示します注意事項を良くお読みいただいて、生存率の意味をご理解いただき、数値やグラフをご覧いただきたいと思います。

がんの治療法には手術療法、放射線療法、化学療法だけでなく様々な治療法があります。さらにがんの治療は初回治療だけで終わるものではありません。初回治療後の定期的な通院、再発後の治療、緩和医療が必要な時期もまいります。各施設の生存率をご覧いただきますと生存率の高い施設だけとは限りません。一定の精度はクリアしていますが、院内がん登録システムが問題となっている施設もありますので、まだまだ十分とは言えません。従って、生存率は施設の治療技術のみを反映するものではないことを十分ご理解いただき、生存率の数字のみにとらわれず、各施設で納得するまで病気の説明を受け、治療法についてよく相談いただきたいと思います。

全がん協の今回のデータは院内がん登録のデータですので、手術症例だけでなく、内科症例、放射線治療された症例、残念ながら手術を受けた後の合併症で亡くなられた方も含まれています。従ってこれまで各施設のホームページ等で公表されている外科症例中心の生存率とは異なり、低く出ることをご承知おきください。

今回、全がん協では「生存率公表モデル」をお示しいたしました。今後各施設が生存率を公表する際は「公表指針」を踏まえ、「生存率公表モデル」に従って公表されることを望みます。またがん診療連携拠点病院におかれましては、院内がん登録の整備が着実に進みますように期待いたします。

2007年10月4日
厚生労働省がん研究助成金
「地域がん専門診療施設のソフト面の整備拡充に関する研究」班
主任研究者 群馬県立がんセンター  猿木信裕

 

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