1.検査を希望される患者さん
その旨を主治医にお話して、がんゲノム遺伝子パネル検査の対象となるか相談してください。主治医から検査を勧められる場合もあります。
2.対象であり検査希望があれば、患者さんのがん組織(手術検体や生検検体)の標本における、がん細胞の質と量を病理医が判断いたします。適格な標本であれば、次に進みますが、不適格な場合は追加の組織採取を行うか、検査を取りやめることもあります。もしくは、血液中に流れるがん細胞を用いて行います。いずれの判断も難しい場合は、当院でご相談に乗ることも可能ですので、セカンドオピニオンとして受診してください。
3.がんゲノム医療担当医
当院におかかりの場合は、主治医となります。他院からご紹介の場合は、がんゲノム医療連携室にて紹介状を拝見したうえで決めさせていただきます。
4.検査の提出
十分な説明を受けて納得され、検査に同意されれば、検査提出となります。
5.検査の種類
NCCオンコパネルとファンデーションワンCDx、さらにはファンデーションワンリキッドCDxおよびガーダント360、ジェンマイントップという5つの検査があります。大きな違いは、NCCオンコパネルとジェンマイントップはがん細胞と正常細胞の両方を、ファンデーションワンCDxとファンデーションワンリキッドCDxとガーダント360はがん細胞のみを調べることです。NCCオンコパネルとジェンマイントップでは、正常細胞も調べることにより、がん細胞に生じている異常が、もともと両親から引き継いだ正常細胞に持ち合わせている異常(多くの場合は、遺伝性腫瘍の遺伝子異常:先天的)なのか、正常細胞に異常が生じたためがんになった(後天的)なのかが、区別できます。一般的には、若い患者さんやがんの家族歴の多い患者さんにNCCオンコパネルを推奨しています。ファンデーションワンCDxは、調べる遺伝子のいくつかがこの検査結果に基づいて使えるお薬と相関することが特徴です(コンパニオン診断)。
7.患者さんへの結果説明
組織検体提出から5-6週間後、もしくは血液検体提出から2-3週間後に当院のがんゲノム医療担当医より、エキスパートパネルに基づいた検査結果と推奨される治療の説明があります。
1.医療保険制度で認められた治療薬が見つかれば、優先的に推奨します。
2.新薬開発のための治験を推奨する場合があります。当院で行っている治験の場合もありますが、多くの場合は国立がん研究センター中央病院の早期臨床試験(治験)を紹介することになります。
3.他臓器のがんで使われているお薬を、同じ遺伝子異常があっても医療保険制度で適応でないがんに用いる「患者申出療養制度」で治療する方法もあります。この場合も、国立がん研究センター中央病院で受けていただくことがほとんどです。
代表電話 0276-38-0771
受付時間 9:00~17:00
1.がんは、遺伝子の病気です
我々の体の中には30~60兆個の細胞があり、それぞれ遺伝子を持っています。これらの細胞への慢性的な影響(突然変異、薬物、感染症、放射線、加齢、生活習慣の影響が加わる事等)により遺伝子に異常が生じ、それらが積み重なる。もしくは、親からがんになりやすい遺伝子を受け継ぐ。おもにこれらの2つの要因で無秩序に増殖するがん細胞が生じてきます。
2.これまで(現在)のがん治療
がんの種類別に、臨床研究を積み重ねた結果に基づいて、最適な治療法が確立されてきています。これらを標準治療と呼びます。
3.分子標的薬
近年の医学の発達によって、がんの発生に関わるそれぞれの遺伝子異常に対応したお薬(多くは分子標的薬)が作られてきました。現在は、がんの種類別にその効果が調べられ、すでに医療保険制度で使用できるお薬が提供されています。
4.がんゲノム医療とがんゲノム遺伝子パネル検査
がんゲノム医療とは、これまでのがんの種類別の治療法ではなく、患者さん個人に生じたがん細胞の遺伝子変異に基づき、病的な遺伝子異常に対応したお薬を探し、より適切な方法で治療する医療です。がんゲノム遺伝子パネル検査とは、1つの遺伝子だけではなく、多数の遺伝子を一度にまとめて調べる検査方法です。
5.検査にあたって必要なもの
検査方法によって、がん組織(手術検体や生検検体)のみ、または血液のみ、もしくは、それらいずれも必要となる場合があります。
6.検査を受けられる条件
これまで各臓器別の標準治療に基づいたがん治療をおこなってきて、治療法が限られてきた方や、稀ながんでもともと確立された標準治療が少ない方が対象です。また、新しい治療法にあらゆる面で耐えられることも必要です。そのため、遠隔転移・再発を生じた時点で、今後の治療方針の変更するために、より早い段階で検査を行うことが望まれます。