形成 |
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形成外科の対象疾患は、先天異常・外傷・腫瘍・熱傷等多種多様にわたっておりますが、がんセンターにおける役割としてはマイクロサージャリーの技術を基本とした各種再建手術に対しての治療が主だったものとなります。具体的には頭頸部がんの組織欠損再建例、乳がん切除後の乳房再建例、手術後のリンパ浮腫に対する治療などが挙げられます。
私たちは微力ながらも、患者さんのQOL(Quality Of Life)のより一層の向上を目指し、がんセンターとしてまた群馬県の形成外科医療の一役を担うべく存在としての診療を心掛けています。
頭頸部がん切除後の再建において、血管柄付き遊離組織移植(顕微鏡下に移植する組織の血管と移植される側の血管を縫い合わせる方法です)は多大なる貢献をしてきており、現在では多くの施設で再建方法の第1選択とされています。
世界で最初に乳房再建を行ったのは、Czerny(1885年)で、 現在までにさまざまな物質の乳房内注射、埋入術がなされてきております。最近では優れたシリコンジェルインプラントが開発されとても良好な結果が報告され ておりますが、今のところわが国では保険外診療で、個人輸入でしか入手できない状態です。
当科では、まずテイッシュエキスパンダーという拡張器(生理食塩水を注入する風船)で胸の膨 らみを再現し、その後皮下ポケット内の拡張器を腹直筋皮弁(おなかの脂肪組織)で入れ替えるという術式を取っております。さらに、乳輪乳頭形成術と細かい 形の形成を行い完成となります。メリットとしてはやはり自分自身の組織で再建するので感染などに強く安全であるということ、さらには保険内での診療が可能 ということであります。
乳がん、子宮がん、卵巣がん、前立腺がんなどの切除後に上 肢または下肢のリンパの流れが不良となりむくみが強く生じる状態をいいます。
治療としては、最近になりリンパ管と細静脈を局所麻酔下に 吻合するリンパ管静脈吻合術という方法が主流となっております。リンパドレナージ、バンデージングなどを併用するとなお良好な状態を維持できるといわれて おります。
局所麻酔での手術と比較的侵襲が少なく、入院期間も7日―1週間と 短い期間での治療が可能です。
平成27年度 | 平成28年度 | 平成29年度 | 平成30年度 | 平成31年度 | 令和2年度 | 令和3年度 | |
頭頸部再建 | 33 | 52 | 28 | 27 | 19 | 0 | 0 |
乳房再建 | 55 | 71 | 77 | 66 | 42 | 60 | 53 |
皮膚皮下腫瘍手術 | 45 | 56 | 58 | 49 | 42 | 58 | 45 |
続発症に対する手術 | 9 | 9 | 6 | 4 | 25 | 17 | 12 |
職・氏名 | 卒業年次・大学 専門領域 | 資格等 |
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| 平成12年 形成外科 | 日本形成外科学会形成外科専門医 |
石原 良平 |
形成外科 |