遺伝診療科

外来担当医表

遺伝診療科
    柳田 康弘
宮本 健志

診療内容

1.家族性腫瘍・遺伝性腫瘍や遺伝子検査について、情報提供や相談の窓口として開設しています。
2.遺伝に関しての知識を有する医師や認定遺伝カウンセラー®が時間をかけて、来談された方に対応します。通常診療よりもじっくりお話をすることに重きを置いています。
3.遺伝性腫瘍を発症しやすい体質であることが判明した場合には、好ましい対応を提案し、対策について相談します。必要に応じて各診療科への紹介をします。
4.病気になってから遺伝性であることが判明した方だけでなく、その方の血縁者でまだ病気になっていない方に対しての対応も可能です。

  • (写真提供:上毛新聞社)


がんと遺伝子、遺伝について

がんを含む悪性疾患の発生には、遺伝子が関わります。もともとの本人の細胞に、放射線、紫外線、喫煙、飲酒、ウイルス感染などの外的要因をきっかけに遺伝子の変化が生じ、これが蓄積され、がん化につながっていきます。
 遺伝子は、両親から受け継いだ一対のペアとして存在するため、こうした変化が生じても、もう一方が機能を補完できるため、すぐにがん化することはなく、時間をかけて年齢と共にがんのリスクが増えていきます。
 一方で、がんに罹患される方の中には、もともとがんになりやすい体質になる遺伝子もって生まれてきた人も含まれます(5-10%と言われますが、もっと多いと考えられています)。こうした遺伝子により引き起こされるがんを含めた腫瘍を遺伝性腫瘍と呼びます。この体質は、親から子、子から孫と世代にわたり受け継がれていきます。子は両親の遺伝子を半分ずつ引き継ぐので、遺伝子が受け継がれる可能性は、基本的に50%です。
 がんになりやすい体質をもって生まれた方は、生まれながらに遺伝子の働きがうまく機能しないものを1本持っているため、もう1本の遺伝子に変化が生じた際に、機能の補完が行われにくい環境となります。これが遺伝性腫瘍の方ががんになりやすい原因と考えられていますが、うまく機能の補完ができる人もいるため、病気にならない人もいます。
 遺伝性腫瘍の特徴としては、家族内に似たようながんが多くみられること、若い年齢で発症していること、両側の臓器に発生すること、臓器内に多発すること、関連腫瘍が多発すること、まれな腫瘍の発生などが挙げられます。
 こうした特徴がある場合は、まずは現在の担当医に、遺伝性腫瘍についての話を聞きたいと申し出てみてください。

遺伝診療外来の流れ=遺伝カウンセリング外来

上記の特徴を有するようながんに罹患された場合、もしくは担当医から遺伝性腫瘍について相談するように言われた場合、この外来にいらして、遺伝カウンセリングを受けることには大きな意味があると考えます。
 遺伝カウンセリング外来では、まず、ご本人やご家族の病気の状況について伺います。何歳のころ、どんな病気にかかったかを伺い、その状況を把握することで、どんな遺伝性腫瘍が考えられるかを検討します。
 遺伝性の腫瘍の可能性が高いと判断された場合に、考えられる遺伝性腫瘍の説明(どんな腫瘍が発生するのか、どんな診断や治療があるのか、どんな対策をしたらいいのかなど)を行い、実施可能な遺伝子の検査(遺伝学的検査、と言います)を提示します。遺伝学的検査は病気になった方の診療に役立てることが第一の目的ですが、結果によっては血縁者への影響が生じる可能性もあるため、検査を受けるかどうかについては、じっくり考えてから結論を出してもかまいません。
 遺伝性腫瘍の原因遺伝子を持っていることが判明した場合には、ご本人の今後の治療や検査体制について紹介し、サポートしていきます。診療面だけでなく、臨床心理士の介入についても相談可能です。がんになりやすい体質を多様性の一つとして受け止めながら生活していけるように協力します。
 最近、治療に関わる遺伝子を調べていく中で、遺伝性腫瘍であることが判明する方も見られるようになりました。こうした場合には、結果判明後に遺伝カウンセリングの介入を開始します。
 また、身内の方についても、同じ遺伝子を有しており、今は未病でも、病気になりやすい体質である可能性があります。こうした方への遺伝学的検査の紹介、検査の実施、検査体制の紹介なども行っています。
 遺伝カウンセリング外来の担当者は臨床遺伝専門医や、それに準ずる資格経験を有する医師、認定遺伝カウンセラー®により行われます。
 費用については、遺伝性乳癌卵巣癌では保険診療で対応できる部分が大きくなりましたが、それ以外については、原則自由診療です(一連の遺伝カウンセリング費用として、1万円+税。遺伝学的検査は検査項目ごとに設定)。

主な対象となる遺伝性腫瘍

 遺伝性乳癌卵巣癌 (若年乳癌、両側乳癌、トリプルネガティブ乳癌、男性乳癌、卵巣癌、卵管癌、腹膜癌、膵癌、前立腺癌などが関連腫瘍です)。これは条件次第では通常診療の一環として保険診療下で検査が行われます。また、病気になる前の臓器の切除(リスク低減手術)(乳房切除、卵巣卵管切除、卵巣卵管子宮切除)についても、保険診療下で可能な症例には保険診療下で手術が可能です。保険診療に合致しない方へは、自由診療での手術も可能となっています。

 リンチ症候群 (若年の大腸癌、子宮体癌、腎盂尿管の癌、小腸癌、胃癌、胆道警の癌、膵癌などが関連腫瘍です)。ペムブロリズマブ(キイトルーダ)の薬剤適応性を調べる検査で、この遺伝性腫瘍が疑われると判明することもあります。がんになる前の臓器摘出はできませんが、早期発見のためのプログラムを提示することができます。

 リ・フラウメニ症候群 (閉経前の乳癌、肉腫、副腎癌、その他多種多様の悪性疾患が関連腫瘍です)。乳房に関しては、自由診療で、リスク低減乳房切除が可能な体制を取っています。

 PTEN過誤腫症候群 (若年乳癌、甲状腺癌、子宮体癌、皮膚の良性腫瘍などが関連腫瘍です)。乳房に関しては、自由診療で、リスク低減乳房切除が可能な体制を取っています。

 これら以外にも、遺伝?と気になるような方はお気軽にお尋ねください。


診療実績

遺伝カウンセリング外来来談者(GC)、遺伝学的検査実施(GT)数の推移

 2020年春以降、遺伝性乳癌卵巣癌の遺伝学的検査保険適応拡大により、検査数は急増しています。
 リスク低減乳房切除実施数(2020年10月時点)
自費診療;7例8乳房、保険診療;1例、待機者あり。
 リスク低減卵巣卵管切除(含子宮摘出)実施数(2020年10月時点)
自費診療;5例、保険診療;0例、待機者あり。

スタッフ紹介


遺伝カウンセリング担当医師
  柳田 康弘
  宮本 健志(臨床遺伝専門医、遺伝性腫瘍専門医、遺伝性腫瘍コーディネーター)

認定遺伝カウンセラー®
  佐藤 響子


診療日

毎週金曜日の午前2枠、午後2枠で行っています。完全予約制です。医療機関からのご紹介については地域連携室へ、個人的に来談を希望される場合には相談支援センターまでお問い合わせください。

診療科・部門のご案内

診療実績一覧
診療科
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チーム医療
診療日
月曜日から金曜日
(祝日・年末年始を除く)
各科の診療日は外来担当医表で
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受付時間
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代表電話
0276-38-0771
予約専用電話
0276-38-0762
(平日 午前9:00~午後5:00)
(土曜日 午前9:00~午後1:00)
※土曜日は初診予約のみの受付になります。

診療日 月曜日から金曜日(祝日・年末年始を除く)
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