患者さん・一般向け

がんゲノム医療の概要

1.がんは、遺伝子の病気です
我々の体の中には30~60兆個の細胞があり、それぞれ遺伝子を持っています。これらの細胞へ持続的な刺激(突然変異、薬物、感染症、放射線、加齢、生活習慣の影響が加わる事等)により遺伝子に異常が生じ、それらが積み重なる。もしくは、親からがんになりやすい遺伝子を受け継ぐ。おもにこれらの2つの要因で無秩序に増殖するがん細胞が生じてきます。

2.これまで(現在)のがん治療
がんの種類別に、臨床試験を積み重ねた結果に基づいて、最適な治療法が確立されてきています。これらを標準治療と呼びます。

3.分子標的薬
近年の医学の発達によって、がんの発生に関わるそれぞれの遺伝子異常に対応したお薬(多くは分子標的薬)が作られてきました。現在は、がんの種類別にその効果が調べられ、すでに医療保険制度で使用できるお薬が数多くあります。


4.がんゲノム医療とがんゲノムパネル検査
がんゲノム医療とは、これまでのがんの種類別の治療法ではなく、患者さん個人に生じたがん細胞の遺伝子異常に基づき、遺伝子異常に対応したお薬を探し、より適切な方法で治療する医療です。がんゲノム遺伝子パネル検査とは、1つの遺伝子だけではなく、多数の遺伝子を一度にまとめて調べる検査方法です。

5.検査にあたって必要なもの
検査方法によって、がん組織(手術検体や生検検体)のみ、または血液のみ、もしくは、それらいずれも必要となる場合があります。

6.検査を受けられる条件
これまで各臓器別の標準治療に基づいたがん治療をおこなってきて、治療法が限られてきた方や、稀ながんでもともと確立された標準治療が少ない方が対象です。また、新しい治療法にあらゆる面で耐えられることも必要です。


当院での検査の流れ

1.検査を希望される患者さん
その旨を主治医にお話して、がんゲノム遺伝子パネル検査の対象となるか相談してください。主治医から検査を勧められる場合もあります。

2.対象であり検査希望があれば、患者さんのがん組織(手術検体や生検検体)の標本における、がん細胞の質と量を病理医が判断いたします。適格な標本であれば、遺伝子解析へと進みますが、不適格な場合は追加の組織採取を行うか、検査を取りやめることもあります。もしくは、血液中に流れるがん細胞を用いて行います。

3.がんゲノム医療担当医
当院におかかりの場合は、主治医となります。他院からご紹介の場合は、担当臓器の医師または腫瘍内科医となります。

4.検査の提出
十分な説明を受けて納得され、検査に同意されれば、検査提出となります。

5.検査の種類
NCCオンコパネルとファンデーションワンCDx、さらにはファンデーションワンリキッドCDxという3つの検査があります。大きな違いは、NCCオンコパネルはがん細胞と正常細胞の両方を、ファンデーションワンCDxとファンデーションワンリキッドCDxはがん細胞のみを調べることです。NCCオンコパネルでは、正常細胞も調べることにより、がん細胞に生じている異常が、もともと両親から引き継いだ正常細胞に持ち合わせている異常(多くの場合は、遺伝性腫瘍の遺伝子異常:先天的)なのか、正常細胞に異常が生じたためがんになった(後天的)なのかが、区別できます。一般的には、若い患者さんやがんの家族歴の多い患者さんにNCCオンコパネルを推奨しています。ファンデーションワンCDxは、調べる遺伝子のいくつかがこの検査結果に基づいて使えるお薬と相関することが特徴です(コンパニオン診断)。

コンパニオン診断薬等の情報については、下記をご確認ください。
外部リンク:コンパニオン診断薬等の情報|独立行政法人 医薬品医療機器総合機構(pmda.go.jp)

6.検査結果が出るまで:遺伝子解析とエキスパートパネル
検査会社に提出された標本の遺伝子解析は約2-3週間を要し、解析結果が、C-CAT(がんゲノム情報管理センター)に提供されます。それと並行して、当院では患者さんの情報と詳細な治療歴をC-CATに提供します。遺伝子解析の情報と患者さんの情報が連結され国内のがんの薬物療法の臨床試験情報をもとに、国立がん研究センター中央病院のがんゲノム遺伝子パネル検査のチームとエキスパートパネル呼ばれる会議を行い、患者さんに推奨する治療を決めます。




7.患者さんへの結果説明
組織検体提出から5-6週間後、もしくは血液検体提出から2-3週間後に当院のがんゲノム医療担当医より、エキスパートパネルに基づいた検査結果と推奨される治療の説明があります。


推奨する治療

1.医療保険制度で認められた治療薬が見つかれば、優先的に推奨します。

2.新薬開発のための治験を推奨する場合があります。当院で行っている治験の場合もありますが、多くの場合は国立がん研究センター中央病院の早期臨床試験(治験)を紹介することになります。

3.他臓器のがんで使われているお薬を、同じ遺伝子異常があっても医療保険制度で適応でないがんに用いる「患者申出療養制度」で治療する方法もあります。この場合も、国立がん研究センター中央病院で受けていただくことがほとんどです。


ゲノム検査の費用

1.この検査は一生に一度だけ医療保険制度を使って行えます。

2.検体提出時に44万円の検査料のうち医療保険制度に基づいた自己負担分をお支払いいただきます。(会計①)エキスパートパネル後の検査結果説明時に検査結果評価料として12万円のうちの自己負担分をお支払いいただきます。(会計②)もし、遺伝子解析に進まない場合には、後者の費用は発生しません。また、高額医療による減免の対象となります。

現在のがんゲノム検査の限界

1.現在、この検査によって、遺伝子異常から推奨される薬物治療法が見つかる可能性は、全国的には10-20%程度と低率です。

2.また、推奨される治療薬が見つかったとしても、患者さんの状態や過去に使用した治療薬の制限によって、新薬の治療(治験)や「患者申出療養制度」に参加できないことがあります。

3.それ以外に、国立がん研究センター中央病院などへの通院が困難なため、治療をあきらめる方も多数いらっしゃいます。

遺伝性腫瘍の遺伝子変異

このがんゲノム遺伝子パネル検査によって、偶然、遺伝性腫瘍の遺伝子変異が見つかってしまうことや家族歴から遺伝性腫瘍が懸念されることがあります。当院でも臨床遺伝専門医・認定遺伝カウンセラーが対応いたしますので、本人やご家族のご要望により、遺伝性腫瘍の詳細な説明やカウンセリングを受けることができます(遺伝診療科をご参照ください)。

未来の日本のがん治療のために

現在のこの検査によって、たとえ直接治療に結びつかなかったとしても、蓄積される患者さんのがん遺伝子情報は、未来のがんがん治療に有意義な資源となります。

当院の相談窓口:がん相談支援センター

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